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マンガ「水軍大名のうた」

マンガ「水軍大名のうた」

毎年、漫画家の富士山みえるさんにお願いして描いていただいている「三田の歴史と能楽」のマンガ。第5弾です。

東京の法政大学には、夏目漱石の弟子として知られ、また能楽研究に功績を残した野上豊一郎を記念して1952年(昭和27年)に創設された「野上記念法政大学能楽研究所」があります。そこには大変貴重な能楽の資料が数多く所蔵されており、研究所の研究員はもちろん、広く能楽研究に利用されています。

そんな豊富な能楽資料の中に、元々は小鼓方観世流の家元(観世新九郎家)が所蔵していた「観世新九郎家文庫」があります。その中に、以前にもマンガの主役に取り上げたことがある三田藩十代藩主・九鬼隆国が、小鼓の弟子として入門する際に提出した書物(誓紙)があることを、最近知りました。

その入門の成果は、隆国が国元の三田で《八島》の小鼓を打っている記録に表れています。過去のマンガでも、1コマですが、描いていただきました(「三田のお殿さまと能・狂言」後半)。この小鼓の話、さらに九鬼家が織田信長・豊臣秀吉の配下で活躍してきた歴史、関ヶ原合戦、江戸時代に入ってからの国替えと関連させ膨らませて、マンガにしていただきました。

マンガ「水軍大名のうた」

マンガ「水軍大名のうた」

私に、小鼓観世家への入門誓紙のことをご教示くださったのは、法政大学能楽研究所教授の宮本圭造先生です。昨年開催された能楽学会大会の懇親会の際に「確か、研究所の資料に三田藩九鬼家の関連資料があったはず」と教えていただいたのです。

そう聞けばすぐにでも確認したかったのですが、その際の東京行の際には予定に余裕がなく、また次に関東に参った際に確認することにしましたが…残念ながら、未だに確認できていません。しかし、法政能楽研究所刊行の研究誌『能楽研究』4(1978年)所収の「観世新九郎家文庫目録-下-」を確認していると、以下のように記されていることを見つけました。

十二 能楽史料書付―書付類その四―
(中略)
33享和三年六月、九鬼和泉守隆国起請文 一通
大版奉書一枚。入門誓紙。新九郎(豊綿)・権九郎(豊照)あて。九鬼隆国は摂州三田藩主。

享和3年6月は西暦では1803年7月にあたります。新九郎豊綿は小鼓観世家十世で、当時の家元。権九郎豊照は豊綿の子で、後に九郎と名を変えて十一世を継ぐ人物です[1]小鼓観世家の歴代の数え方には諸説あり、新九郎豊綿を十一世、九郎豊照を十二世とする場合もあります。

宮本先生が仰っていたのは、この資料のことに違いありません。早く実物を拝見したいものです。

【過去のマンガ作品一覧】

マンガ第1弾「三田のお殿さまと能・狂言」

マンガ第2弾「さんだ大川瀬の能はじまり物語」

マンガ第3弾「少年役者・八子大夫」

マンガ第4弾「たんぽぽ城のお姫さま」

脚注   [ + ]

1.小鼓観世家の歴代の数え方には諸説あり、新九郎豊綿を十一世、九郎豊照を十二世とする場合もあります。
この記事を書いた人

朝原広基

「能楽と郷土を知る会」会員。ネットを中心に「柏木ゆげひ」名義も使用。兵庫県三田市出身・在住。大学の部活動で能&狂言に出会ってから虜となる。能楽からの視点で、歴史の掘り起こしをライフワークにすべく活動中。詳細は[プロフィール]をご覧ください。

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