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【報告】さんだゆかりの能・狂言を知る 能のお話

【報告】さんだゆかりの能・狂言を知る 能のお話

本年(2017年)に弊会「能楽と郷土を知る会」で主催しております連続講座「さんだゆかりの能・狂言を知る」。その最終回「能のお話」が8月5日(土)に無事終了しましたので、報告させていただきます。

概要

【開催日】平成29年(2017年)8月5日(土)13時30分開場 14時00分開始 16時00分終了
【会場】三田屋本店―やすらぎの郷―2階ティーラウンジ「羽衣」
【講師】江崎欽次朗(能楽師ワキ方福王流)
【主催】能楽と郷土を知る会
【協力】株式会社三田屋本店
【後援】三田市・三田市教育委員会・ハニーFM・サンテレビジョン・神戸新聞社
【受講料】2,000円(ケーキセット込み)

内容

前回の「狂言のお話」が実際には話よりも実演重視だったのに引きかえ、今回の「能のお話」は講師が江崎欽次朗先生お一人ということもあり、トーク中心となりました。

最初に能楽と郷土を知る会代表・朝原が三田市の能楽について、少しだけ説明。三田市の最北西にある大川瀬住吉神社で、江戸時代中期に遡る神事能が行われており、現代も続いていること、そして本日の講師である江崎欽次朗先生の江崎家は、当代の曾祖父にあたられる、九世江崎欽次朗(1889-1970)以来、大川瀬の能に参勤されていることもお話ししました。

特に、明治40年(1907)の神事能については、九世江崎欽次朗が詳細な記録を残していたからこそ、その詳細を今も知ることができることに触れました。江崎家は代々姫路の家ですが、三田の能楽史上にも足跡を残していることを説明させていただきました。

九世江崎欽次朗「能楽帳」

その上で、お話を欽次朗先生に交代。まずは《高砂》の謡のことに触れ、そして本題の《安達原》の解説へ。

なんと!今回の催しのために、下のような解説シートを作ってきてくださいました。制作は、能や狂言のさまざまなイラストを発表されているkyoranさんです。イラストで分かり易いのはもちろん、理解を深めるための工夫がされていて、本当に素晴らしいものでした。

kyoranさん制作の資料

さらに、プロジェクターとスクリーンもお持ちいただき、ダイジェスト版の動画もはさみながら解説されます。

《安達原》の話は単純に言えば、恐ろしい鬼を山伏が法力で退治する話です。しかし、欽次朗先生は「この話は鬼を”退治”するんじゃない、と思ってます」とおっしゃいます。

能の中で、ワキというのはどこまでも受け止める役。この《安達原》でも、山伏の法力で無理に退治するのではなく、鬼となるしかなかった女性の悲しみを受け止めて、正気へ戻すつもりで祈り演じると、家の書物に書かれているという伝えを引きながら、懸命に説明いただきました。

【報告】さんだゆかりの能・狂言を知る 能のお話

さらにお話は続きます。

中高生のころには江崎という十二代続く家がプレッシャーで、素直に継ぐ気持ちになれなかったこと。教員を目指して大学に入ったものの、そのころから能の家に生まれたからこそできることがあるのではないかと感じ始めたこと。

遅くなりながらも、お父上のお供で楽屋の下働きなどに行くと、暖かく受け入れてくれた他の能楽師の方々のこと。息子さんがいて、今は素直に舞台に出てくれているけれど、今後のことはいろいろ考えること。地元の若い子が稽古に来てくれてくれること…。

欽次朗先生ならではの、江崎家のみならず、広く能楽界の未来にまで思いを馳せる熱い内容となりました。

【報告】さんだゆかりの能・狂言を知る 能のお話

最後はお一人だけですが装束着付の体験。欽次朗先生はワキ方なので《安達原》ワキの山伏姿…なんですが、経巻を追加して《安宅》のシテ弁慶「勧進帳」ごっこもありました。

全体として、立て板に水を流すかのような、でも謙虚なお人柄があふれるトークの楽しい時間となりました。また、プロジェクター、スクリーン、PC、そしてお装束一式…。数々のお道具をお持ちいただいて、欽次朗先生のこの催しにかけてくださった意気込みに感じ入りました。

本当にこの方に講師をお願いできて良かったと感じております。

とはいえ、完璧な内容ではなく、プロジェクターの画像が見えにくい部分もあったようです。これは完全に主催側の問題でして、プロジェクターで動画を流すならば、視聴覚室など本来備え付けの設備がある会場を選択するべきでした。そうすれば欽次朗先生にお持ちいただくお荷物も減らすことができたはずです。

何人もの方からアンケートでもその点は指摘いただいておりまして、次回以降の反省点とさせていただきたいと考えております。

受講者数

47名。

アンケート

当日の来場者を対象に当日資料と共にアンケートを配布しました。40名分回収。回収率85%。

性別

男性 14人(35.0%)
女性 26人(65.0%)

年齢

20代 1人(2.5%)
30代 1人(2.%)
40代 5人(12.5%)
50代 3人(7.5%)
60代 17人(42.5%)
70代 13人(32.5%)

受講者の中心が60代であることは変わりませんが、20代・30代も1人ずつではありますが、参加いただくことができました。この年代のパーセンテージを少しでも上げていきたいと願っています。

どこで知ったか

ポスター 2人(5.0%)
チラシ 12人(30.0%)
新聞 10人(25.0%)
インターネット 7人(17.5%)
ダイレクトメール 3人(7.5%)
その他 3人(7.5%)

こちらもチラシが強いのは変わりありませんが、インターネットが15%を超えるなど、継続して告知を行ってきた効果が徐々に出てきたのでしょうか。嬉しい事です。

アンケートに記された感想

  • 初めての体験でした。分り易い解説で、とても興味深かったです。可能なら、次回も参加したいと思います(欽次朗先生、最高です)。「安達原」の話は以前から知っていましたが、能の世界での表現は楽しかったです。それにしても猛暑のせいかクーラーの効きが悪くて暑かったです!!(女性、60代)
  • 基本的な用語など詳しくわかり易く説明して頂き、とても勉強になりました。装束の着付けも拝見することができ、興味深かったです。(女性、50代)
  • 映像をもっとクリアにしてほしい。(男性、70代)
  • ビデオよりお話しの方が良い。(男性、60代)
  • もう少し三田での発祥・歴史を知る機会があればと思います。(男性、70代)
  • 初めての能のお話しや謡にふれ、楽しい時間でした。演目を知り、能のをたのしめば楽しくなりそうです。(女性、70代)
  • 説明がくわしく興味深く楽しい時間でした。(女性、70代)
  • 能、まったくの初めてです。これから機会がありましたら又と思いました。ありがとうございました。(女性、60代)

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  • カウンター席の椅子がソファーと異なり大変でした。前回の狂言と共に大変有意義でした。出演者の説明には満足で熱演と使命感すら感じました。(男性、70代)
  • とても分りやすくて面白かったです。能を身近に感じることができました。これからは事前勉強して能を観に行こうと思います。(女性、40代)
  • 分りやすく、はっきりと(少し耳の遠い私にも)説明してくださり、おひな飾り(五人ばやし)の「あっ、そうだったの」という話まで楽しい能の話でした。是非次回の企画もお願いいたします。ありがとうございました。(女性、70代)
  • パワーポイントの設定があまり良くなかった。内容的に非常に分かり易かった。(男性、70代)
  • 以前に伊丹で薪能をみましたが、内容がよくわかりませんでした。能と狂言の違いなども少しわかりました。安達原の解説がわかりやすく良かったです。機会があれば江崎先生の能を拝見したいと思います。(女性、60代)
  • わかり易くてとても良かったです。経験者ですが、知らない事もあり、充実したひと時でした。(女性、40代)
  • 全体を通して(全て)良かった。(流れ・解説・DVD・お話し・能・安達原ストーリーの説明) 映像はもう少し何とか。能の学ぶこと、知ることに集中して時間の建つのも忘れて!資料言葉以外にも装束の着付など実際に見せて頂きました。楽しみ方教えて頂き面白かった。又参加したいです。(女性、60代)

【報告】さんだゆかりの能・狂言を知る 能のお話

  • 説明は非常にわかりやすかった。映像が見えにくかったのが、ちょっと残念でした。大変楽しかったです。(女性、60代)
  • 大変わかりやすく楽しく拝見しました。(女性、70代)
  • 協会・各流派の表裏話があれば。(男性、70代)
  • 過去に能に親しんでいたにもかかわらず、すべての内容を知っている分ではなかったので、とても楽しかったです。今更きけないことも初めて知り、本当に良かったです。今後もご連絡ください。(女性、60代)
  • セリフと古典との関係の話が興味深かった。(男性、70代)
  • 非常に分り易くて良かったです。マイクを通して後ろの席にも充分聞こえました。内容も興味深く能に対する理解が深まりました。スライドが見えにくかったのが残念です。(女性、60代)
  • とてもていねいにわかりやすく説明していただき、能に対してさらに興味がわきました。実際の能を見たことがないので、ぜひ鑑賞してみたいと思います。映像がもっと大きければよかったと思います。(女性、40代)

【報告】さんだゆかりの能・狂言を知る 能のお話

  • 丁寧に説明していただき、ありがとうございました。映像での説明であれば、三田屋2階よりも画面が大きく映る施設(視聴覚室のような)のほうが見せやすかったと思います。これを機会に能楽堂なども訪れたいと思いますし、三田との関係も調べたいと思います。ありがとうございました。(女性、50代)
  • 安達原を初めて見た。色々能を見てみたい。(男性、70代)
  • これが能なのか……(女性、60代)
  • 初めてですが、興味をもつことができて良かったです。(女性、60代)
  • 背景がわかればおもしろさが増す、楽しくなることがわかりました。有意義でおもしろい時間でした。(女性、40代)
  • 初めてではなく2回目ですが、解説でなんとなく入口が見えました。まだまだ能の世界が見えません。あわれ、わびしさを伝えるのが能でしょうか。(男性、60代)
  • 大変わかりやすかったです。(男性、60代)
  • 録画の場面が明るくはっきり見えず、残念でした。見たかった。
  • 三田にも能・狂言の歴史があった事を初めて知りました。私自身三田に10年ほど住んでおりましたが、三田について何も知らないので、とても良い機会でした。ワキ方のお話もとても貴重で良かったです。(女性、40代)
この記事を書いた人

朝原広基

「能楽と郷土を知る会」会員。ネットを中心に「柏木ゆげひ」名義も使用。兵庫県三田市出身・在住。大学の部活動で能&狂言に出会ってから虜となる。能楽からの視点で、歴史の掘り起こしをライフワークにすべく活動中。詳細は[プロフィール]をご覧ください。

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