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新作狂言《くわばら》初上演・動画収録

新作狂言《くわばら》

昨日(2020年11月14日)、兵庫県三田市フラワータウン市民センターに能舞台を組み、新作狂言《くわばら》初上演・動画収録を行いました。

監修や出演くださった狂言方の皆様はもちろん、台本の素案を一緒に作ってくださった方、当日の舞台の組み立てをしてくださった方々、受付のスタッフ、子ども教室の参加者さん&保護者、クラウドファンディングでご協力くださった方々……多くの方のご協力あっての上演終了だと改めて感じています。

今後、プロによる再演はもちろん、子ども教室で指導を行い、地域で生きた演目として上演されていくことを目指します。

新作狂言《くわばら》概要

《くわばら》は、弊会「能楽と郷土を知る会」で制作した新作狂言です。以下に伝わる地域の民話を元にしました。

昔、あわてものの雷の子が、欣勝寺の古井戸に落ちてしまった。

どうしても外へ出られないので、「助けてくれ一!」と大声で叫んだ。

和尚さんは、井戸にふたをしてこらしめた。

雷の子は、「助けておくれ。桑原へは二度と雷を落とさない。」と言ったので、和尚さんは助けてやった。

雷の子は帰って親に、一部始終を話した。雷の親は、和尚さんにたいへん感謝し、雷たちを集めて、「これから欣勝寺や桑原には絶対に落としてはならないぞ。」ときつく戒めたという。

それからというもの欣勝寺や桑原には雷が落ちたことがないという。

三田市ウェブサイト「くわばらくわばら欣勝寺」より

雷除けの呪文としての「くわばら」の由来譚です。今回、狂言の制作のため、欣勝寺に伝わる縁起やその他の記録などを調べて回る中で、少なくとも江戸時代の書物には記された古い物語であることが確認できました。また、内容も古くは仏教色の強いものだったのが、少しずつ変化しつつ、現在の可愛らしい物語へと変化していることが分かりました。

そこで、今回の狂言では、新たに「百姓」という庶民らしさを表現する役を設定し、欣勝寺の僧侶と神鳴(雷)と、三者の間で展開する舞台として作り上げました。

あらすじ

摂津国三田のほとり桑原村に住む百姓が田畑を見回っていると、突然天気が崩れ始める。百姓は雨に降られる前に家に帰ろうとするが、途中で雨が降り出し、ゴロゴロと雷も鳴り始める。近くの欣勝寺に逃げ込もうとするが、目の前に神鳴(雷)が落ちてきて……。

登場人物

神鳴(かみなり) 天から雲を踏み外し欣勝寺の井戸に落ちてくる
百姓(ひゃくしょう) 桑原村の住人 田畑を見舞う途中に雷雨に出会う
住僧(じゅうそう) 欣勝寺の住職 百姓と神鳴の仲介を行う

監修

善竹忠重氏(能楽師狂言方大蔵流 重要無形文化財総合認定保持者 公益社団法人能楽協会神戸支部副支部長 平成28年兵庫県功労者[文化功労])

出演

神鳴:善竹忠亮
百姓:小林維毅
住僧:牟田素之

新作狂言《くわばら》

この記事を書いた人

朝原広基

「能楽と郷土を知る会」代表。ネットを中心に「柏木ゆげひ」名義も使用。兵庫県三田市出身・在住。大学の部活動で能&狂言に出会ってから虜となる。能楽からの視点で、歴史の掘り起こしをライフワークにすべく活動中。詳細は[プロフィール]をご覧ください。

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