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三田屋本店 お菓子の能舞台と狂言公演のご案内

我らが兵庫県三田市には、能舞台を持つレストラン「三田屋本店」があります。

2階のティーサロンはその名も「羽衣」。そこに展示されているお菓子の能舞台が夏仕様になったというので、見てきました。カニさんと浮輪の子がカワイイ。確かに夏仕様でした(^^)/

もちろん、このお菓子の能舞台のほかに、1階レストランの奥には本物の能舞台「有馬能楽堂」があります。そして、今度の8月7日(日)19時から、狂言公演がありますので、案内させていただきます。

三田屋本店 有馬能楽堂 平成28年公演

演目は《文蔵》と《濯ぎ川》。

《文蔵》は、太郎冠者がお使いで行った伯父御さまの家でふるまわれた食べ物が思い出せないが、主人がよく読んでいる『源平盛衰記』の石橋山の合戦物語に出てきたような…というので、主人がその語りをする、という狂言。

この《文蔵》の語りは、独立して演じられることもある狂言を代表する語り芸。舞台の中心に腰を据えて座り、だんだんと気持ちが乗ってきて、調子が良くなったところで、突然語りを中断しては「…所をばし食らうてあるか」と太郎冠者に尋ねる、そのギャップも楽しいです。

最後は「真田の与市が乳母親に文蔵と答うる」というと、太郎冠者がその「文蔵」を食べたといいます。主人は「それは温槽粥(うんぞうがゆ)」のことだ、と叱って終わります。

温槽粥は、お釈迦さまが断食の後にスジャータから施されたお粥にちなみ、禅寺などで旧暦の12月8日に作る粥とのこと。時代の流れの中でちょっと分かりづらい言葉となりましたが、合戦の語りの名調子と、少々ばかばかしい最後の落差が楽しい演目と思います。

シテ(主役)をつとめられる茂山正邦さんは、京都を代表する狂言大蔵流茂山千五郎家の当主・千五郎さんのご長男。今年の秋には当主名・千五郎を襲名することも決定しており、今後ますますの活躍が期待される役者です。

三田屋本店 有馬能楽堂

もう一つの演目《濯ぎ川》は、フランスのコメディを狂言に仕立て直した昭和の新作です。

家の裏の川で洗濯をしている男は、気の強い妻と姑が用事を言いつけて来るのに耐え兼ねて、用事をすべて紙に書いてもらいます。そして、それ以外はしなくて良いという取り決めをすることで、ささやかな抵抗を試みるのですが…。

昭和28年(1953)に劇作家の飯沢匡が作り、武智鉄二が演出をして、茂山千五郎家で上演されて以来、繰り返し上演された名作狂言。新作ながら普遍的な人間関係を描いており、国も時代を越える「新たな古典」として定着しているといえるでしょう。

シテをつとめられる茂山七五三さんは、当主千五郎さんの弟さん。若いころは銀行づとめのかたわら狂言の舞台に立つという二足のわらじを履いていた苦労人でもあり、役柄の広さに定評があります。

三田屋本店 ヘレステーキ

有馬能楽堂での能・狂言公演は、上演の前にステーキやロブスターの食事があり、アルコール飲料も。また、野外の能舞台は風情も満点。篝火の火入れや触れ太鼓の演奏もその風情をより高め、五感の内、味覚・視覚・嗅覚・聴覚を満足させる、本当にゆったりと贅沢な時間が楽しめます。

大阪から電車で約1時間弱。ゆったりとした気持ちでお楽しみください。三田屋本店の公式ウェブサイトに予約方法の詳細などが載っていますので、そちらからぜひ。

三田屋本店―やすらぎの郷― 有馬能楽堂 能・狂言公演のご予約・ご案内

この記事を書いた人

朝原広基

「能楽と郷土を知る会」会員。ネットを中心に「柏木ゆげひ」名義も使用。兵庫県三田市出身・在住。大学の部活動で能&狂言に出会ってから虜となる。能楽からの視点で、歴史の掘り起こしをライフワークにすべく活動中。詳細は[プロフィール]をご覧ください。

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