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奥原佳津夫さんによる復曲能《鼓の瀧》考察ツイート

300年ぶりの上演 神戸三田ゆかりの幻の能 鼓の瀧

昨年11月22日、兵庫県三田市の三田市総合文化センター郷の音ホールにて、約300年ぶりに復活上演された能《鼓の瀧》について、当日ご覧いただいた奥原佳津夫さん( @KatsuoOkuhara )がTwitterで感想を挙げてくださっています。

詳細な感想に加え、考察もいただいており、上演主催者としてありがたいばかりです。何よりも今回の上演での狙いや、私の中でも直前まで揺れていた迷いまで見抜いてらっしゃいまして、奥原佳津夫さんの舞台をご覧になられる目の確かさを感じます。

ご本人の許可をいただいた上で、こちらに転載させていただきます。なお、奥原佳津夫さんの関連ツイートのすべてを拾っているわけではことは了承ください。


“幻の能”を求めて、探検隊は三田にやってきた―
( …ミタ(東京都)じゃないぞ、サンダ(兵庫県)だぞ。 )

JR三田駅
午後0:34 · 2022年11月22日

立派なホール、「郷の音(さとのね)」で「響」って洒落たネーミングだよな♪

三田市総合文化センター郷の音ホール
三田市総合文化センター郷の音ホール
午後1:17 · 2022年11月22日

各地に立派なホールがあって、すごいよな。

三田市総合文化センター郷の音ホール中庭
午後8:51 · 2022年11月22日

…三百年ぶりの、”幻の滝”に期待して待っている間に寝落ちして、終わってしまっていた― とかだたら、『鷹の井戸』みたいで(ネタとしては)面白いかも…。

300年ぶりの上演 神戸三田ゆかりの幻の能 鼓の瀧
午後1:23 · 2022年11月22日

三田の“幻の能”、晴れやかで勢いある祝言曲に仕上がって、三百年ぶりの上演まずは祝着。前段の(西行ネタの)講談から曲解説につなぐ構成もうまいし、「能楽と郷土を知る会」とゆげひさんの地元でのご活躍ぶりを拝見して、距離感にもなんだか納得。なにより、名のみ聞けどの『鼓滝』実見できて満足♪…
午後11:14 · 2022年11月23日

…無い物ねだりを云えば、意外とふつうに(現行の演能の文法の中に)きれいに収まりすぎてしまって棘の無いところなのだが(強いて云えば、アイ狂言の舞、中入り来序から後シテの超速神舞が特徴的か)、せっかく番外曲を復曲するのだから、現行曲では出来ない演出・演技を、と思うのは…
午後11:21 · 2022年11月23日

…摺れた好劇家の悪い癖で、主催する会の趣旨が、郷土に所縁の曲を復活し、さらには上演を重ねることであるのだから、妙に奇を衒った演出をするのは(実験的な一回性のものとしては面白くても)、今後折に触れての上演を期するならそぐわない。現行の正調演出・演技に収めたのも納得。
午後11:28 · 2022年11月23日

私は以前、未刊謡曲集所収の『鼓滝』を読んで、勝手に、後シテは老体の「楽」を想定していたので、正直、今回の上演の神舞(それはそれとして勇壮な「瀧祭の神」の表現になってはいたが)にはちょっと違和感はある。ただし、前述のような理由で、重すぎる特殊な「楽」より…
午後11:36 · 2022年11月23日

…スカッと勇壮な「神舞」のほうが、折々の郷土での上演を期するなら扱いやすいだろうとは思う。
ちなみに、妄想語りをすれば… 先年、老体の『高砂』の上演も見たが、「山河を守る山神」には風雅に過ぎるので、例えば『富士山』(金春流)の後シテの「山の神・火の御子」のようなのを想像していた。
午後11:43 · 2022年11月23日

…現前する舞台の向こう側に、ありえたかもしれない“幻の舞台”を幻視するのも、また観劇の楽しみである…(笑)
午後11:45 · 2022年11月23日

「鼓の滝」は(前にも触れたとおり)“西行返し”説話の流れで知ってはいたので、今回の上演でも“西行もの”の講談から聞くと、つい、住吉の神でも現れて和歌の徳とか解きそうな気がしてしまうのだが、能の方は意外と(比べると)和歌の威徳要素薄いのだな、と改めて。
まず何より、ワキは西行ではなく…
午後11:56 · 2022年11月23日

…(あまり歌の道には明るくなさげな)「臣下」だし、影向するのも「山の神」「瀧祭の神」なのでチと荒い。
謡本(今回の上演台本)を拝見すると、ワキの台詞に「今日より花前の友にて候 近ふ参り候へ」を補って、(歌問答より)桜花の下に盃をめぐらす神人交歓の和やかな祝言性に重きをおいた…
午前0:06 · 2022年11月24日

…であろう《ゆげひ本》の方向性も見て取れる。
(余計なことを云うと、「中入来序ノ時 ワキ詞 待謡ナシ」と註される、アイの(ややバランスを欠いて)長い「祝い直し」の舞から後場への演出は、個人的にはちょっと疑問…。)
午前0:14 · 2022年11月24日

現地で購入、『こうべ さんだと能・狂言』(能楽と郷土を知る会 2021)。兵庫県、神戸三田地域(旧摂津国有馬郡)の能・狂言(猿楽)に関わるエピソードを史実・伝承取り混ぜ、漫画や文献・史跡の紹介も手際よく盛り込んだ冊子。(ゆげひさんの布教本。)同所の民話に基づく新作狂言の台本も掲載♪

冊子「こうべさんだと能・狂言」
午前1:03 · 2022年11月26日

…ベッドタウンとして急成長した流入人口が市民の大半を数える、という事情は、おそらく大都市圏であれば三田市に限ったことではないだろう。近・現代、特に戦後の経済成長期以降の人口の流動性。 その土地にまつわる、能をはじめとした(前近代の)歴史や文化に触れ、いわば土地の記憶を共有する…
午前1:19 · 2022年11月26日

…ことで、地域住民の「郷土」の理解を深める同会の活動。
「居住地」として流動性も高い都市部で、(この場合“能”は切り口の一つだが)文化的(あるいは精神的)「郷土」の再構築(あるいは仮構)は、どこまで有効か…など、あれこれ勝手なことを考えながら、初めて訪れた街を歩いたことでした。
午前1:51 · 2022年11月26日

先日の復曲能『鼓の瀧』当日配布パンフレットに、(本作でも特別監修に名を連ねる)西野春雄「復曲をめぐって」の一文が掲載されている。“復曲作業”の方法論を、横道萬里雄の提示に沿って、簡潔に紹介していて有益。
「A原上演時の様式・実態の再現、B現行演目に準じた様式・実態の設定、…
午前1:22 · 2022年11月28日

…C現代能としての様式・実態の工夫」の三つに大別していて、それぞれに実例を挙げて説明されているのも、復曲作業に携わる経験豊富な同氏ならではで、興味深い。その上で、「三百年余上演が途絶えていた《鼓の瀧》が、Bの立場で、現代の技法によって復曲されます」と方針を示している。
午前1:29 · 2022年11月28日

先般の名古屋能楽堂の『不逢森』は、古能ゆえにそもそも台本の構造が、現行演目の様式や役割分担にあてはまらないのでBの立場は取れず、(作り手側の意図は知らず)Aを模索した結果、上演実態はかなりC、というところか。
午前1:42 · 2022年11月28日

この記事を書いた人

朝原広基

「能楽と郷土を知る会」代表。ネットを中心に「柏木ゆげひ」名義も使用。兵庫県三田市出身・在住。大学の部活動で能&狂言に出会ってから虜となる。能楽からの視点で、歴史の掘り起こしをライフワークにすべく活動中。詳細は[プロフィール]をご覧ください。

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