カテゴリー三田の歴史と能楽
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マンガ「隆範さんと九鬼家住宅」
毎年、漫画家の富士山みえるさんにお願いして描いていただいている「三田の歴史と能楽」のマンガ。第8弾です。
今回は、兵庫県三田市屋敷町に残る「九鬼家住宅資料館」と、その設計者・九鬼隆範と能楽の関わりのお話です。これについては、2016年に一度「『九鬼家住宅の設計者』九鬼隆範と能楽の謡」として、記事を書いておりますが、同じ内容をもとにして、今回描いていただきました。
どちらかというと、九鬼家住宅資料館の設計者である九鬼隆範の伝記の紹介に重点があります。
1ページ目の最後のコマ上部に入っているのは、右端の注釈にもありますが、九鬼隆範が描いて、明治10年2月5日に京都で行われた「鉄道開業ノ祝儀」において、明治天皇がご覧になった「京神間鉄道線図」の、写し[1]土木学会 土木図書館委員会 図面資料研究小委員会サイト内「九鬼家図面(三田市との共同研究成果)」の図面12です。
左端の下に、九鬼隆範本人によって、以下のように記されています。
明治十年春二月五日、畏クモ/聖上臨幸親ラ鉄道開業ノ祝儀ヲ/行ハセラルヽノ際、我局長線路ノ/図巻ヲ奉献シ以叡覧ニ供ス。蓋シ/其図ヤ予輩製成ノ栄ヲ辱フスル/ヲ以、将来備考ノ為ノ茲ニ其草稿/ヲ保存スト言禾/丁二月 九鬼隆範
自分が描いた図が、天皇にご覧いただけたことが、隆範にとって、どれだけ誉れだったのか、が伝わってくるような文章ですね。
なお、右端は、現在の京都駅の位置を示しているようですが、「西京ステーション」とあります。これはどうやら当時、現在「京都」と呼んでいる街を、東京に対して「西京」と言っていたことによるようです。
2ページ目の最初のコマに載せている能楽の謡の言葉は《羽衣》の一部分です。隆範が好んだ曲から、選びました。