「お殿さまが見た狂言」アンケート結果とまとめ
7月3日に無事終了しました「お殿さまが見た狂言―三田藩主も楽しんだ日本の伝統芸能」について、アンケートの集計などが終わり、まとめられましたので、この場で報告させていただきたいと思います。
なお、少々長いので、ところどころにアクセントとして当日の写真を入れましたので、その写真で楽しみつつ御覧いただければ、と思います。
概要
【開催日】平成28年7月3日(日)13時30分開場 14時00分開演 15時40分終演
【会場】三田市総合文化センター(郷の音ホール)小ホール
【出演】能楽狂言方大蔵流 善竹忠重一門「志芸の会」
【主催】能楽と郷土を知る会
【共催】三田市総合文化センター郷の音ホール
【後援】三田市・三田市教育委員会・三田市文化協会・ハニーFM・サンテレビジョン・神戸新聞社
【入場料】
一般1,000円(前売)1,500円(当日)
高校生以下(前売)700円(当日)1,000円
内容
解説「狂言と三田のお殿さま」
朝原広基(主催代表)
小林維毅(大蔵流狂言方)
大蔵流狂言《末広かり》
(果報者)善竹忠重
(太郎冠者)牟田素之
(都の男)善竹忠亮
大蔵流狂言《千鳥》
(太郎冠者)尾鍋智史
(主人)善竹忠亮
(酒屋)岡村和彦
附祝言
来場者数
160名
アンケート
当日の来場者を対象に当日資料と共にアンケートを配布しました。118名分回収。回収率73.8%
アンケート回答者に見る参加者の動向
性別では女性が60%以上を占めました。
年齢では60代・70代あわせて49%、50代も加えると62%であり、半数を超えました。
どこでこの催しを知ったのか、最も多かったのは「チラシ」。しかしながら「お殿さまが見た狂言」単独のチラシのほかに、郷の音ホール全体で催されていた「さとのね七夕フェスティバル」のチラシもあり、この聞き方ではその区別が付けにくかったと反省しております。
幸い手に入れた場所について詳細回答欄を設けましたので、その回答欄を見てみると、「Sato-Net(郷の音ホール広報誌)」「学校」「家」「郷の音会員送付資料」「新聞の折り込み」「主催者からのDM」「三田ふるさと学習館」「三田屋本店」「心月院」「公民館」「市民センター」「図書館」。
前半の「Sato-Net」「学校」「家」「郷の音会員送付資料」「新聞の折り込み」などは「七夕フェスティバル」全体のチラシのことかと思われます。このあたりは「七夕フェスティバル」の参加企画だったがために、来場いただくことができたのだと思います。「チラシ」とは別に「郷の音ホール」で知ったも加えると、来場者の大半がこの催しを知ったきっかけは、郷の音ホールだったことが分かります。
また、地域イベントだからか「知人」がかなり多いという結果となりました。主催者や出演者の知人も含まれていますが、「知人に誘われていく」という場合も想定できますので、より具体的に聞きだす工夫が必要だったかと、このあたりアンケートの作り方は、次回以降に課題を残すこととなりました。
一方で、facebookを始め、インターネット関係は今一つ振わず。今後、より良い活用法を考えねばなりません。
また、その他の中には「ラジオ」「ハニーFM(三田市のコミュニティラジオ)」が含まれておりました。ハニーFMには放送に出演させていただいたにも関わらず、アンケートの選択肢に入れるのを忘れており、誠に失礼いたしました。
アンケートに記入された感想(一部)
- たるをぬすもうとしたところが、おもしろかった!(男性、10代未満)
- 解説のとき、返事をする体験ができて良かった。解説の仕方が分かりやすかった。セリフが聞き取れなかったけれど楽しかった。千鳥で太郎冠者がお酒を取っていくところや相手が驚いて持っていく所が面白かった。(男性、10代)
- 解説の時、返事の体験ができて楽しかった。舞台を三角に歩いただけで場面が変わることも知りました。舞台で見る狂言に迫力があって、良かったです。(女性、70代)
- もう少し子どもでも分かる演目の方が良かったです。(女性、40代)
- 解説は長過ぎると思う。パンフレットにあらすじが書いてあるので。声がよく通って分かりやすかった。狂言を観るのは2度目ですが、おもしろい芸能だと思った。若い役者さんがいらっしゃるので、良かった(後継者がいらっしゃった)。(女性、60代)
- 舞台がホールのステージなので、少し味気ない。(男性、60代)
- 楽しかったし笑えました。郷の音で能・狂言が見られて良かったです。子連れで中々出かけにくいので、ぜひまたして欲しいです。観るだけでも楽しいので、小3の子どもも見てましたが、お能も見てみたいです。(女性、10代未満。感想は親による記入)
- 先に少し解説があったので、最後のおちも自分なりにわかった(末広かり)(女性、70代)
- 出演者のプロフィールをもっと知りたいですね。三田でこのような催しがあることに、誇りと感謝を感じます。年に数回、能と狂言があれば嬉しいです。(男性、60代)
- 今後も続けてください!解説がとても分かりやすくお客様の巻き込みもとても良かったと思います。(男性、30代)
- ホールに入った時点で柊の香りに包まれ、自分も舞台に上っている気分になりました。最初の演者の方との会話があり、とても気分が盛り上がりました。(女性、70代)
- 小学中学生に説明するようで少しくどくどしいと感じました。楽しく拝見させていただきました。説明は文面でしたら良いと思いました。舞台でしなくても良い。(女性、70代)
- 若い方が伝承されていることに感動しました。大きくよくとおる声。すばらしい希望を感じました。(女性、70代)
- 狂言はEテレでたまに見ることがあるが、実際に目の前で演じられる狂言を見る機会は少ないので、とても良かった。千鳥はとてもおもしかった。(男性、60代)
- 1日がもったいないので半日→のこりの半日は何ができるように。江戸時代には藩とは呼ばなかったのはごぞんじですよね。ご家中とよんでますよね~!三田とあやべに別れてますし。まあ、あまりうるさくいってもですね。たのしかったです。(男性、50代)
- 前もって解説してもらって、ことばも予習したけれど、それでもやっぱりわかり辛いところがありました。でも勉強になりました。(女性、50代)
- 解説はとても分かりやすかったですが、本編は難しかったです。でもなんとなく笑どころは分かりました(解説があったおかげで)。(女性、30代)
- 言葉が大きかったのでよかったです。細かいところまでしっかりしていたのがよかったです。むずかしい言葉なのに間違えずに言ってたのでよかったです。(女性、10代未満)
- 都の男の方、客席に向かって言った方がいいような。でも大変楽しかったです。(女性、70代)
- おおまかなストーリーは解ったけど、セリフの言い回しが分かりにくいところがあった。千鳥はよく分かって楽しかった。(女性、60代)
- 値段は安いと思いますが、交通費でその倍近くかかりますので…。解説はうーん言うとかなーの枠があるのでしょうが、パンフその前のチラシで分かっていること、省いてもう少し面白い進行の方が。楽しうございました。(女性、60代)
- 解説がわかりやすくおもしろかったです。一貫して観客を藩主扱いする趣向もちょっとツボでした。(女性、30代)
- 解説がもう少し多くても良かった。(女性、60代)
- おもしろかったです。こどもがメインで楽しめる企画をしていただければ伝統芸能への理解が広がるかもしれません。(女性、30代)
- むずかしかったです。たのしかったです。(女性、10代)
- 解説が長い。解説がマンガと同じだったので違う話が良かった。簡単に説明しようとしすぎて子ども扱いされている感じ。知りたいのは狂言にしかない動作とその意味です。(男性、40代)
- 末広がり 最後の舞が良かった。都の男とのかけ合いが聞き取りにくかった。 千鳥 とてもおもしろかった。続けてほしい。(女性、70代)
- もう少しお話を一つにして、時間をみじかくしてほしいと思った。(女性、10代)
- 始めて狂言をきいたが、話のストーリーがなんとなく分かり、興味深く見ることが出来た。武士の時代の笑い…なかなか奥が深いと思いました。(男性、60代)
- 末広がりの狂言は語句が難しく、内容ががよく分からなかった。(男性、30代)
- おちの言葉の説明があれば嬉しいです。始めの説明がすごくありがたかった。(女性、30代)
- おもしろかったです。また楽しみにしています。次はお能をお願いします。(女性、50代)
- 解説があってよかったです。千鳥とてもおもしろかったです。また三田で狂言や能をしてほしいです。(女性、10代)
- セリフがわかりにくい。(女性、10代)
- 演技が見てて面白かった。能楽も面白いが、狂言だけでも楽しめて、企画が良かったと思う。次は能も見てみたい。解説も良かった。(男性、20代)
- あらすじが書いてあったので、上演の内容を確認しながら見ることができて良かった。もしわからなかったら、何を言っているのかわからず、楽しめなかったと思う。(女性、40代)
まとめ
来場者は目標にしていた150人を越え、公演としては成功したと判断できる結果と言ってよいと思ます。狂言を「難しい、縁のないもの」ではなく、「昔から三田でも上演されていた、今も続いている生きた芸能」として、少しでも三田市民が知るきっかけになったとの自負は持っています。
ただし、最初の予算想定が甘く、また最初の想定よりも大規模な催しとなったため、予算は元々赤字になる想定で立てていたものの、その想定を大きく越える赤字となってしまいました。予算的には完全な失敗であり、あくまで主催代表の“趣味”に過ぎないと結論付けられるでしょう。
しかし、「能楽と郷土を知る会」は立ち上げたばかりの団体ですし、一回きりのイベントではほとんど意義はありません。今後「能楽と郷土を知る会」を継続して運営し、今後も催しを続けていくためには、予算の健全化、具体的には不必要な支出の削除と適正な入場料設定、協賛元の開拓が必要だと痛感しました。
内容についても、能楽(能と狂言)に慣れ切った代表個人の「狂言は気楽に見ることができる芸能」だという認識は、一般の来場者の方々の感覚と違うと大いに感じました。
特に今回は「200年前の三田藩の盛儀と同じ演目を上演」という趣旨から、《末広かり》は外せない演目であるとの認識でしたが、爆笑する演目とはいえないため、アンケートからは主に《末広かり》に対する「難しかった」「もっと子どもに分かる演目を」というご意見も目立ちました。
こちらからの回答としては、今回の催しの趣旨の第一は「三田で狂言を上演することとその意義」でした。もちろん「初めて狂言に触れる人向け」を意識して、資料を配布し、解説を行いましたが、それはあくまで第二の趣旨であったことは確かです。ただし、今後の継続を考える上では、重要な点であることは疑いありません。
しかしながら、ただ演者ならぬ主催者が企画する公演である以上、単なる普及という形ではなく、能・狂言に土地(郷土)ゆかりという意味をつけることが大切であると考えています。主催団体名に「能楽と郷土」なる言葉を入れているのも、その想いの現れであり、今後ともこの軸上に活動を行えるよう努力したいです。
次の公演予定はまだ未定ですが、可能ならば、来年に同様の公演をしたいと考えています。それに向けて、できることは何か思索して進んでいきたいと思っています。