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神社能舞台が使われることの意義―志染能楽仕舞子ども教室

御坂神社「志染能楽仕舞子ども教室」発表会

既に2ヶ月前の話ですが、8月27日(日)に兵庫県三木市の御坂神社能舞台で行われた「志染能楽仕舞子ども教室」発表会を拝見に参りました。この教室の概要については以前紹介しておりますので、そちらをご覧ください。

写真は最後の、教室の子どもさんたち・観客も含めた全員での連吟《老松》の様子です。

この神社の能舞台は少なくとも江戸時代には存在したことを示す絵図が残っています。現在のものは10年前に建て替えられた新しいものなのですが、発表会の最初の氏子総代さんの挨拶で「氏子の総意で立て直されました」と仰せになっていたことに感動しました。

と申しますのも、筆者は、名生昭雄編『兵庫県の農村舞台』(和泉書院、1996年)にまとめられた30年ほど前の調査結果を踏まえて、兵庫県内の神社能舞台を訪ねて回っていた時期がありました。

すると、ショックなことに、記録には存在しても今はなくなってしまったお舞台がいくつもあったのです。

舞台がなくなった神社の方にお話をうかがうと、「数年前の台風で屋根が崩れてしまったので撤去した」といった例が多いのです。

神社能舞台の保存と継承

神社にとっては、能舞台は必要不可欠な施設とは、必ずしも言えません。昔、建てられたのですから、その時点では確かに価値があったのでしょう。でも、今はどうでしょうか。

野外にある能舞台は風雨にさらされ、どんなに大切にされていたとしても、少しずつ傷んでいきます。そして老朽化して崩れた時、その時点で神社や氏子の方々に能舞台の必要性が認識されていなければ、能舞台はそのまま撤去されてしまうのです。

御坂神社に残る明治4年の境内絵図

必要性が認識されるためには、何よりも能舞台が活用されることが大切です。だからこそ、今回のような、神社のお舞台を利用して地域の子どもたちが能楽に触れる活動を素晴らしいと感じるのです。

発表会の終了後、「志染能楽仕舞子ども教室」の指導をされたシテ方観世流の若手能楽師・上田顕崇さんにお話をうかがいました。「神社やお寺の舞台で謡や舞を奉納することが、能楽本来の姿に近いと感じています。兵庫県の能楽の家の者として、県内に舞台を大切にしていきたいと思ってます」と熱い思いを仰っていました。

また主催の、志染しみじみ伝統芸能教室実行委員長の増山清さんも「また来年もしたい」と仰せでした。

今後もこの活動が継続されていき、ひいては神社能舞台の保存と継承に繋がっていくことを願ってやみません。

この記事を書いた人

朝原広基

「能楽と郷土を知る会」会員。ネットを中心に「柏木ゆげひ」名義も使用。兵庫県三田市出身・在住。大学の部活動で能&狂言に出会ってから虜となる。能楽からの視点で、歴史の掘り起こしをライフワークにすべく活動中。詳細は[プロフィール]をご覧ください。

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